地元にありながら 足を踏み入れた事が 無かった藤前干潟。 藤前干潟関連施設は 稲永ビジターセンターと 藤前活動センターの 2箇所あるが、今回は稲永へ。 |
センター内では 藤前干潟の自然について 総合的に学ぶことができる。 「初夏の観察会とすだれ作り」に 参加してみる。 なぜ”すだれ”なのかは後々。 |
”ガタレンジャー”と呼ばれる ボランティアのスタッフや 地元のおじいさんによる 話も交えて、干潟の 基礎知識や昔の様子等、 レクチャーを受ける。 |
ガタレンジャー先導の元 外に繰り出す。 参加者はグループで 目を閉じ連結行進。 目を閉じている事で 風の向きや潮の香り等を 感じ、五感を研ぎ澄ます。 |
干潟とは、潮汐(潮の干満)に よって、陸地と海面下になる事を 繰り返す地形。 内湾の奥や大きな河川の 河口域によくみられ、 主に砂や泥で形成されている。 |
干潟は干潮時に必ず 出現する訳では無いらしい。 周囲は工場地帯で、 お世辞にも景色が良いとは いえないが・・ 双眼鏡で覗けば 色んな生き物が見えてくる。 |
藤前干潟には小さな葦原がある。 葦は「ヨシ」や「アシ」と読むが、 「アシ」が「悪し」に通じるのを 忌んで現在では「ヨシ」が 定着しつつあるらしい。 |
葦原の横で、一心不乱に 干潟に目をやる。 別に全員吐き気を もよおしてる図・・ではない。 覗き込んだその先には・・ |
目を凝らすと 無数の穴が・・ さては、地底人の 住み家だな? 息を潜めて見ていると・・ |
地底人・・いや カニ道楽が出てくるよ。 干潟にはこうしたカニや ゴカイや小魚がたくさんいて・・ |
それらをついばむ 鳥たちがやってくる。 渡り鳥たちの休息と 栄養補給の、大切な中継地。 |
藤前は日本最大級の 渡り鳥渡来地。 干潟では食物連鎖による 生態系が水質を浄化させている。 |
藤前干潟は 伊勢湾に残る最後の干潟。 伊勢湾に流れ込む 庄内川、新川、日光川の 河口に広がっている。 地元なのに、意外と知らない。 |
泥遊びが好きな息子は おおはしゃぎだが、 既に2度ほどコケた。 干潟にはカキ殻など、 手や足を切るものも多いので 注意が必要だ。 |
たぶんハゼの仲間。 こうした生き物たちが 干潟には、いっぱい 生息している。 タダの泥地だと思ったら 大間違いだ。 |
この日は、某国営放送(笑)の 取材でTVカメラも 入っており、”やらせ”ではない ありのままの身近な自然を ファインダーを通して 視聴者に伝えるのだろう。 |
干潟に生きる底生生物が 食物連鎖の輪を支える。 やはり、観察会でも 干潟の生き物の中で最も 子供たちの好奇心を誘うのが カニだろうな。 |
最近の都会育ちの子供は 泥や生き物に触れるのさえ 嫌がるというが・・ 我が家は日頃の 行いのおかげで・・ 「良いダシでそうなカニだな」? |
2002年11月には 国指定藤前干潟鳥獣保護区 (770ha、うち323haが 特別保護地区)に指定され 同年、ラムサール条約登録地に 登録された。 |
ラムサール条約とは、 「特に水鳥の生息地として 国際的に重要な湿地に 関する条約」が正式名称。 ラムサールは、条約に関する 最初の国際会議が開催された イランの都市の名にちなむ。 |
当時、名古屋市がこの干潟を ゴミ処分場にするという計画が もちあがったが、市民の 保全運動などにより断念。 残念なのは、綺麗に見える 葦原にも、実際は ゴミのポイ捨てが目立つ・・ |
分解や浄化が行われ、 多くの水生動物の よりどころとなる”葦原”。 葦は干潟のような湿地の植物。 自然の浄化作用の上で 重要な場所であり、 野生動物と環境保護に とっても重要である。 |
そんな干潟の葦をつかって すだれ作り♪ 一説には、葦による すだれ発祥の地は 藤前干潟の上流地域らしい。 それだけ、昔は広大な 葦原があったようだが、 藤前に限らず、埋め立て等で 姿を消した所も少なくない。 |
ゴミ処分場埋め立て問題で 脚光を浴びた藤前干潟。 埋め立て断念と同時に 名古屋市はゴミ非常事態を 宣言し、徹底した分別収集で ゴミを減らした。 人間の暮らしにも決して 無縁ではない干潟という 「命のゆりかご」の、存在する 意味を考えさせられる アカデミックな一日となった・・ |