2008.05.18
藤前干潟 目指せ!ガタレンジャー!? −意外と知らない身近な自然−
地元にありながら
足を踏み入れた事が
無かった藤前干潟。
藤前干潟関連施設は
稲永ビジターセンターと
藤前活動センターの
2箇所あるが、今回は稲永へ。


センター内では
藤前干潟の自然について
総合的に学ぶことができる。
「初夏の観察会とすだれ作り」に
参加してみる。
なぜ”すだれ”なのかは後々。


”ガタレンジャー”と呼ばれる
ボランティアのスタッフや
地元のおじいさんによる
話も交えて、干潟の
基礎知識や昔の様子等、
レクチャーを受ける。
ガタレンジャー先導の元
外に繰り出す。
参加者はグループで
目を閉じ連結行進。
目を閉じている事で
風の向きや潮の香り等を
感じ、五感を研ぎ澄ます。


干潟とは、潮汐(潮の干満)に
よって、陸地と海面下になる事を
繰り返す地形。
内湾の奥や大きな河川の
河口域によくみられ、
主に砂や泥で形成されている。
干潟は干潮時に必ず
出現する訳では無いらしい。
周囲は工場地帯で、
お世辞にも景色が良いとは
いえないが・・
双眼鏡で覗けば
色んな生き物が見えてくる。


藤前干潟には小さな葦原がある。
葦は「ヨシ」や「アシ」と読むが、
「アシ」が「悪し」に通じるのを
忌んで現在では「ヨシ」が
定着しつつあるらしい。


葦原の横で、一心不乱に
干潟に目をやる。
別に全員吐き気を
もよおしてる図・・ではない。
覗き込んだその先には・・
目を凝らすと
無数の穴が・・
さては、地底人の
住み家だな?
息を潜めて見ていると・・
地底人・・いや
カニ道楽が出てくるよ。
干潟にはこうしたカニや
ゴカイや小魚がたくさんいて・・


それらをついばむ
鳥たちがやってくる。
渡り鳥たちの休息と
栄養補給の、大切な中継地。


藤前は日本最大級の
渡り鳥渡来地。
干潟では食物連鎖による
生態系が水質を浄化させている。
藤前干潟は
伊勢湾に残る最後の干潟。
伊勢湾に流れ込む
庄内川、新川、日光川の
河口に広がっている。
地元なのに、意外と知らない。


泥遊びが好きな息子は
おおはしゃぎだが、
既に2度ほどコケた。
干潟にはカキ殻など、
手や足を切るものも多いので
注意が必要だ。


たぶんハゼの仲間。
こうした生き物たちが
干潟には、いっぱい
生息している。
タダの泥地だと思ったら
大間違いだ。
この日は、某国営放送(笑)の
取材でTVカメラも
入っており、”やらせ”ではない
ありのままの身近な自然を
ファインダーを通して
視聴者に伝えるのだろう。


干潟に生きる底生生物が
食物連鎖の輪を支える。
やはり、観察会でも
干潟の生き物の中で最も
子供たちの好奇心を誘うのが
カニだろうな。
最近の都会育ちの子供は
泥や生き物に触れるのさえ
嫌がるというが・・
我が家は日頃の
行いのおかげで・・
「良いダシでそうなカニだな」?


2002年11月には
国指定藤前干潟鳥獣保護区
(770ha、うち323haが
特別保護地区)に指定され
同年、ラムサール条約登録地に
登録された。
ラムサール条約とは、
「特に水鳥の生息地として
国際的に重要な湿地に
関する条約」が正式名称。
ラムサールは、条約に関する
最初の国際会議が開催された
イランの都市の名にちなむ。


当時、名古屋市がこの干潟を
ゴミ処分場にするという計画が
もちあがったが、市民の
保全運動などにより断念。
残念なのは、綺麗に見える
葦原にも、実際は
ゴミのポイ捨てが目立つ・・


分解や浄化が行われ、
多くの水生動物の
よりどころとなる”葦原”。
葦は干潟のような湿地の植物。
自然の浄化作用の上で
重要な場所であり、
野生動物と環境保護に
とっても重要である。


そんな干潟の葦をつかって
すだれ作り♪
一説には、葦による
すだれ発祥の地は
藤前干潟の上流地域らしい。
それだけ、昔は広大な
葦原があったようだが、
藤前に限らず、埋め立て等で
姿を消した所も少なくない。
ゴミ処分場埋め立て問題で
脚光を浴びた藤前干潟。
埋め立て断念と同時に
名古屋市はゴミ非常事態を
宣言し、徹底した分別収集で
ゴミを減らした。
人間の暮らしにも決して
無縁ではない干潟という
「命のゆりかご」の、存在する
意味を考えさせられる
アカデミックな一日となった・・


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